欲しがりませんいつまでも?~欲求の伝え方~

くれたけ心理相談室大阪支部 心理カウンセラーの宇野謙一です。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

 

最近、少し考えることがあります。

「欲求は、どう言えばうまく伝わるのか(相手をその気にさせられるか)」

 

人は、赤ちゃんの頃から自分の欲求を相手に伝えるという経験を重ねています。

最初は、「泣く」ことで、空腹やオムツ交換を訴えます。

これは、必須事項なので、相手(親)に伝われば、必ず欲求は聞き届けられるでしょう。

 

少し成長してくると、様々な形で「おねだり」をするようになります。

私は、あまり覚えがありませんが、親にお菓子やオモチャなど買ってもらうために、あの手この手で欲求を満たしてもらうべく奮闘した、という方も多いのではないでしょうか。

私のように、「野球帽が欲しい」と親に言えず、軽い気持ちで妹に愚痴ったら、妹が親に話してしまい、あっさり買ってもらえた、というようなことはあまりないでしょうが。

 

こうした欲求の伝え方にはいくつかのパターンがあるようです。

①欲求が叶えられるまで、ひたすら訴え続ける。

この場合、座り込んだり泣きわめいたり、理屈抜きに訴えを繰り返すことで、稀に相手が根負けして言うことを聞いてくれる場合もあるようですが、大抵の場合、言えば言うほど相手も頑なに聞いてくれないという結果になるようです。

以前は、スーパーなどで、そうしたお子さんが親に可哀想なくらいに叱り飛ばされて泣いているのをよく見かけましたが、まあ、そういうことですね。

②ダメもとで言うだけ言ってみる。

最初から、うまくいったらしめたもの、くらいの気持ちでいるので、訴え方も強くなく、聞いてもらえれば「ラッキー!言ってみるもんだな」、聞いてもらえなくても「やっぱりね」で、さほどダメージも受けない。

③「言うだけムダ」と最初から言わない。

子供の頃の私がそうでした。聞いてもらえないわ叱られるわと、とんでもない目に遭うことが分かっているので、そういうリスクを避けるパターンです。「欲しがる」ことを悪と考えている場合もあります。

 

そして、4つ目。

④さりげなく欲求をちらつかせ、どうすれば叶えられるかを考え、行動する。

子供なら、「いい子にするから買って」「お手伝いするから買って」「テストで100点取ったら買って」など、親が納得しそうな条件を交渉の切り札にする(親が条件提示する場合もあるでしょうが)。大人の場合、営業先との交渉など正にそうですし、恋をした場合も、闇雲に「付き合ってほしい」より、どう気持ちを伝えるか、どうしたら振り向いてもらえるかを考え、実行することでしょう。「自分はあなたが好きだから、あなたも自分を好きになってほしい」とは言わない筈です。

 

人間関係(仕事・恋愛・友人・夫婦 など)においては、相手があることなので、④の選択が大切である気がします。

①では、相手に抵抗感を植え付け、言えば言うほど欲求が実現する可能性は低まるでしょう。

とは言え、③では、平穏が保たれる代わりに、進展はしない。

しかし、大抵の場合、③で誤魔化すか、④に①が入って話がこじれるか、そういったことが多いのではないでしょうか。

 

相手があること、ということは、相手を尊重せず、理解し合うこともなく、自身の欲求のみに固執して訴えるだけでは、相手に伝わらず、その気にもさせられない、ということ。

分かっていても難しいことなのですが、どんなことでも「欲しい」と言い続けることが相手に対する無言の圧力となり、心を閉ざさせ、言えば言うほど実現は遠のきます。

相手を尊重し、思いやった伝え方と共に、そこで100%に足りないところを他で補うことも大切ですね。

 

「欲しがりません」とまでは酷ですが、一つのことに執着せず、あらゆるところを合わせて欲求の充足とすることで、伝え方の熱量を下げられれば、お互いに楽ではないかな、という気がします。

 

お楽しみ様でした。

何か買ってほしい時も、心の隙間を埋めたい時も、「欲しい。欲しい」と言い過ぎてしまっては、却って相手に届かないものなのでしょうか。

投稿者プロフィール

宇野謙一カウンセラー
宇野 謙一くれたけ心理相談室(大阪支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室(大阪支部)は、大阪府大阪市・八尾市を拠点に心理カウンセリングを承っております。エリア外の皆様にも、Zoomや電話等によるカウンセリングにて対応させていただいております。

カウンセリングを通じて、「困っていた問題」 が 「新たな気づきや成長へのきっかけ」となることを心から願っています。

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