身の丈を知る〜人はどれだけの土地がいるか〜
くれたけ心理相談室大阪支部 心理カウンセラーの宇野謙一です。
ご訪問いただき、ありがとうございます。
人間の欲望にはキリがないですね。
バイキングで料理を取りすぎて結局残してしまったり、使えこなせもしないのに上級モデルの楽器やパソコンを持っていたり、あれをやりたいこれをやりたいと通信販売の商品を買い漁って使わないまま放置していたり…。誰にでも経験があると思います。
私も、一時魔が差したのか、憧れだけでとある単車を購入し、一度も乗らないまま買い取ってもらったことがあります。
今から思えばお恥ずかしい…。
星新一のショートショートに「趣味決定業」という作品がありまして、そこでは、「エルマ」という機械が、一人一人に合った趣味や習える場所などの詳しい情報をAIさながらに教えてくれます。
一人一人の性格や生活を分析し、上達は間違いなく経済的にも無理がない最適な回答を与えてくれるのです。
カウンセリングで趣味を決めることはまずないと思いますが、「今をどう生きるか」「どう問題と向き合うか」ということを共に考えていく、という点で、カウンセラーも「エルマ」と同じことをクライエント様に対して行っているような気がします。
「エルマ」もカウンセラーも、その人の身の丈に合った最もその人らしさを無理なく発揮して輝けることが何かを相談者に提示する役割を持つ。ということでしょうか。
だとすると、「エルマ」もカウンセラーも「人はどれだけの土地がいるか」という、相談者の身の丈について認識することが前提にあると言えるのではないかと思います。
「人はどれだけの土地がいるか(トルストイ)」というお話からは、身の丈を知ることの大切さがひしひしと伝わってきます。
貧しい農夫であるばかりに「土地さえあれば」と無理を重ね、最後は、広大な土地を手に入れる(日の出と同時に丘の上から歩き出し、好きなだけ選択して、日没までに出発点に戻れば、そのまま自分のものになる)賭けに成功しますが、ゴールと同時に息絶える主人公。結局、必要だった土地は、自分の遺体が埋められる穴の分だけ、という結果になります。
ここでは、とにかく取れるだけの土地を取ろうとしますが、バイキングと同じで取るだけ取って食べられる(土地を有効に活用できる)のか?という問題はあったと思います。事実、主人公が死んだのは、土地の取りすぎで出発点から離れすぎてしまったことに気づき、日没までに丘に戻る(戻れなければ土地は手に入らず、代金として支払った金も戻ってこない)ために無理して走り続けたからでした。
闇雲に「取れるだけの土地が欲しい」ではなく、自分が何をしたいか、そのためには何がどれだけ必要かということを理解しておれば、身の丈に合った土地の取り方ができたでしょうし、土地は得たが命は失った、ということにはならなかったのではないでしょうか。
こうした物語からも教訓は得られますが、私達が日頃仕出かしている様々な失敗には、あらゆる点で自らのキャパを超えた無理が関係している。それは、可能性として有り得ると思います。
一つの考え方として、自信がないとか、卑下するとか、そういうことではなく、どんなところでなら自分を目一杯輝かせられるのかを考え実践するという意味において、「身の丈を知る」必要があるということが言えるのではないでしょうか。
料理を取りすぎて食べ切れない。使いもしないのにムダな買い物をした。などで済んでいるうちはいいかもしれませんが、無理のしすぎで精神疲労をきたさないかが気掛かりになってしまいます。
ネガティブにではなく、最も輝ける自分探しというポジティブな意味で、「身の丈を知る」ことを心がけ、それぞれが最大のパフォーマンスを発揮できる状況に身を置ければ。
少なくとも、私は、そう思っています。
お楽しみ様でした。

自信がないとか卑下するとかではなく、どんなところでなら自分を目一杯輝かせられるのかを考え実践するという意味において、「身の丈を知る」必要があるということが言えるのではないでしょうか。ネガティブにではなく、最も輝ける自分探しというポジティブな意味で、「身の丈を知る」ことを心がけ、それぞれが最大のパフォーマンスを発揮できる状況に身を置ければ。少なくとも、私は、そう思っています。
投稿者プロフィール

- くれたけ心理相談室(大阪支部)心理カウンセラー
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カウンセリングを通じて、「困っていた問題」 が 「新たな気づきや成長へのきっかけ」となることを心から願っています。
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