のび太が道具をせがむ時~コミュニケーションを阻む12の障害~

くれたけ心理相談室大阪支部 心理カウンセラーの宇野謙一です。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

 

人は、相手が悩みや問題を抱えている時、問題解決を目的として相手に自分自身の考えや気持ちを伝えがちになるそうです。

たとえ相手のために言っている言葉の中にでも、必ず自分の主観が入っているものなので、相手がそれを察知すると、自分が相手と話をすること自体、自分が傷つくことになってしまう、というケースが有り得ます。

相手に自分の考えや気持ちを伝えているのは、妻のためを思ってのようでいて、実は、自分の心の中に起こった不安や心配等から早く抜け出したいためで、それでは相手がコミュニケーションを要求しなくなり、結果、内面的に変化がし難くなると言われています。

これが「コミュニケーションを阻む12の障害」だと言われます。

 

では、ここで、野比のび太が「またジャイアンにいじめられた。何か(道具を)出して」と言ってきた場合のドラえもんのどんな対応が「コミュニケーションを阻む12の障害」にあたるのかを考えてみましょう。

 

①命令・指示(~しなさい、何かをする(しない)ように指示する)

●「一人でできない喧嘩ならするな!」

②注意・脅迫(あることをすればどんな結果になるのかを言う)

●「やり返したらまたやられるよ」

③訓戒・説教(何をすべきなのか、何をしなければならないのかを言う。

●「ボクの道具ばかりあてにしないで少しは自分で考えろよ」

④忠告・提案(どのようにすれば問題を解決できるか助言や提案を与える)

●「先生に相談してみたら?」

⑤講義(事実・情報・論理・自分自身の意見等で相手の判断に影響を与える)

●「子供はそうやって成長するもんだ」

⑥批判・非難(相手の判断に否定的判断や評価を下す)

●「そんな暇があるなら勉強しろよ」

⑦賞賛・同意(相手の判断に肯定的判断や評価を下す)

●「今の君にピッタリの道具を貸そう」

⑧侮辱(存在価値をディスカウントするような評価をする)

●「すぐボクに頼るなんて甘ったれだ」

⑨分析・判断(相手の判断に対し、相手自身の動機は何かを解説する。或いは何故相手がそんな言動をするのか原因を分析する。相手の気持ちが分かっていること、相手の診断を済ませたことを伝える)

●「自信がなくて道具に頼るんだろ?」

⑩激励・同情(相手の気持ちを良くなるようにする、今現在の気持ちから脱却させようとする)

●「しずかちゃんも可哀想って言ってる」

⑪質問・尋問(原因・動機・理由を把握しようとする、問題を解決するために役に立つ情報を相手から得ようとする)

●「ジャイアンと仲良くできないの?」

⑫誤魔化し・中止(問題から相手の気を逸らそうとする、相手の注意を他方向に逸らす、冗談に紛らす、自分自身の問題から逃げる)

●「落ち着いて、どら焼き食べようよ」

 

この場合、のび太は、気持ちを分かってほしい・考え方を理解してほしい・思いやってほしい・優しく接してほしい、という、「4つの第一次欲求」を受け止めてもらえず、理解してもらうどころか、反対に理解させられることになる上、あなたは重要ではない・あなたは信頼できない・あなたは価値がない、という「3つの隠れたメッセージ」まで送られます。この時のドラえもんには、重要度・信頼度・価値において自分が上、だという意識があり、それを相手の心の奥底(潜在意識)に届けているのです。

ただ、相手との間にラポール(信頼関係)があれば、「コミュニケーションを阻む12の障害」に相当する関わりをしても問題とならない、とされています。毎週のように同様のやり取りを繰り返しながら、両者がうまくいっているのはこのためです。

 

皆さんも、ご自身の様々なケースに置き換えて、コミュニケーションが成立しない関わりをしていないか振り返ってみてはいかがでしょうか。

 

お楽しみ様でした。

人は、相手が悩みや問題を抱えている時、問題解決を目的として相手に自分自身の考えや気持ちを伝えがちになるそうです。たとえ相手のために言っている言葉の中にでも、必ず自分の主観が入っているもの。それを踏まえて、コミュニケーションが成立しない関わりをしていないか振り返ってみてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

宇野謙一カウンセラー
宇野 謙一くれたけ心理相談室(大阪支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室(大阪支部)は、大阪府大阪市・八尾市を拠点に心理カウンセリングを承っております。エリア外の皆様にも、Zoomや電話等によるカウンセリングにて対応させていただいております。

カウンセリングを通じて、「困っていた問題」 が 「新たな気づきや成長へのきっかけ」となることを心から願っています。

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