9勝6敗を狙え〜人生は勝ち過ぎないこと~
くれたけ心理相談室大阪支部 心理カウンセラーの宇野謙一です。
ご訪問いただき、ありがとうございます。
今日は、9月6日にちなんで、「9勝6敗を狙え」というお話を。
色川武大(阿佐田哲也)氏のエッセー集「うらおもて人生録」(新潮文庫)に「9勝6敗を狙え──の章」という一篇が掲載されています。
小学生の頃に毎日新聞の日曜版で読んだことがあり、9月6日ということで久しぶりに思い出した次第です。
ギャンブルの運を相撲の星取りになぞらえ、プロの基本的フォームの持続目標を9勝6敗として、勝ったり負けたりしてトータルでは勝ち越す、この星勘定9勝6敗が、人生においてもちょうどいい塩梅だと捉えておられます。
武田信玄も、「戦いは全勝してはいけない。心が緩んでいつか負ける原因になるからだ。少し勝ったくらいが一番良い」と言っていたといいます。
このエッセーにも、「フォームの持続」を重視し、「本当に一目おかなければならない相手は、全勝に近い人じゃなくて、9勝6敗ぐらいの星をいつもあげている人(9勝6敗の維持を目標にしている人)」、つまり、誰とやっても(どのレベルに行っても)常に9勝6敗の成績をあげられることが肝で、大負けしない程度に適度に負ける。9勝6敗のうち、6敗の選定の方が難しいということなのだとか。
相撲を観ると分かるのですが、十両や幕内下位で大勝ち(時には、12勝3敗くらいで平幕優勝ということもあります)し、翌場所上位に上がる(強豪力士との対戦が増える)と大負けして下位に逆戻りすることが多いようです。
誰とやっても(どの地位に行っても)常に好成績をあげる(フォームを持続する)ということの難しさが分かります。
上がったり下がったりを繰り返し、やがて上位でも9勝6敗できるようになり、やがてそれ以上の星をあげられるようになれば出世の道が見えてくるという訳です。
誰とやっても(どのレベルに行っても)常に9勝6敗の成績をあげる、ということについて私なりに考えてみますと…。
それ以上の成績を狙うということは、それに伴う過労やストレスが心配されます。
それで、それ以上の成績をあげたとしても、今度は、それを持続するための更なる苦労に加えて、成績の下降に対する不安も生じる危険性が高いと思います。
相撲を観ていてよく思うこと。
どの位置でも9勝6敗の成績をあげられる力士は、それ以上の成績を上げない限り、大関にはなれません。しかし、2場所連続の負け越しで陥落という規定がある上、(優勝や横綱昇進を目指すことを前提に)9勝6敗の成績ではファンや周囲に満足されない大関の地位にあることが本当に幸せかどうか。更に、横綱は昇進したその時から引退する時のことを考えて過ごせ(いくら負けても陥落しないが、勝てなくなれば引退以外の選択肢はない)と言われる厳しい地位です。
周囲の厳しい声や「勝たなければならない」というプレッシャーからくるストレスは相当なものだと予想され、そのために本来の実力を発揮できずに終わってしまう可能性を考えると、無理に地位を上げずに名大関や名力士として長く活躍してほしかった、と思う力士は大勢います。
人生において「9勝6敗を狙う」ということも、それと同じような気がします。
勝ち続けることで、それを維持するために生じる過労やストレス、いつか負けるかもしれないという不安、といったものを抱える人生。
どの位置にあっても9勝6敗を維持し、勝つ喜びも負ける悔しさも併せのみ、長く活躍できるトータルで勝ち越しの人生。
どちらが幸せかは、その人の価値観が決めることですが。
皆さんの目標は、何勝何敗でしょうか。
無理なく生きられるよう、考えてみるのもいいかもしれないですね。
お楽しみ様でした。

色川武大(阿佐田哲也)氏のエッセー集「うらおもて人生録」(新潮文庫)では、相撲の星取りになぞらえ、勝ったり負けたりしてトータルでは勝ち越す9勝6敗が人生においてもちょうどいい塩梅だと言われています。武田信玄も、「戦いは全勝してはいけない。心が緩んでいつか負ける原因になるからだ。少し勝ったくらいが一番良い」と言っていたといいます。誰とやっても(どのレベルに行っても)常に9勝6敗の成績をあげられることが肝心なのだとか。プレッシャーやストレスから本来の実力を発揮できずに終わってしまう可能性を考えると、無理に地位を上げずに名大関や名力士として長く活躍してほしかった、と思う力士は大勢います。人生において「9勝6敗を狙う」ということも、それと同じような気がします。勝ち続けることで、それを維持するために生じる過労やストレス、いつか負けるかもしれないという不安、といったものを抱える人生。どの位置にあっても9勝6敗を維持し、勝つ喜びも負ける悔しさも併せのみ、長く活躍できるトータルで勝ち越しの人生。どちらが幸せかは、その人の価値観が決めることですが、自分の人生の目標は、何勝何敗かを考えてみるのもいいかもしれないですね。
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