思い上がりも甚だしい~立場に相応しい行いとは?~
くれたけ心理相談室大阪支部 心理カウンセラーの宇野謙一です。
ご訪問いただき、ありがとうございます。
同業(障害者就労支援事業所職業指導員)の方から聞いた話です。
ある利用者の方(女性)が席替えになりました。
サービス管理責任者との面談の結果らしいのですが、職員に情報共有されていないので事情が分からず、また、隣の席の利用者の方(男性)も「自分が何かしたかな?」と気にされています。
そこで、職員間で「事情を聞いた方がいいのではないか」ということになり、サービス管理責任者に聞きに行ったそうです。
すると、サービス管理責任者は、最初から、「何の確認か」と不機嫌な様子で、席替えになった方が仕事の上で迷惑することがあって隣の席の方を嫌っているための措置であること、その隣の席の方との面談で「隣は女の人がいいな」という発言があり、「なんや、このオッサン」と思ったという経緯を話され、「俺が判断したことに何の確認をするつもりか?」と居丈高な態度をとられたそうです。
その態度に彼の怒りは治まらず、「思い上がりも甚だしい」「サービス管理責任者としてとるべき態度ではない」「然るべき情報共有がないため分からないことを聞いたことが気に入らないからとこんな態度をとられては仕事にならない」と社長に報告し、乱暴な対応であったと認識していただき、サービス管理責任者への口頭注意となったようです。
この話を聞いて、私もいたく同業の彼に共感し、考えるところがありました。
少なくともこの件には、「思い上がりも甚だしい」「立場に相応しい行いができていない」というサービス管理責任者の2つの問題があります。
確かに、利用者の方と面談し、話を聞いて然るべき措置をとるのはサービス管理責任者の責務でしょう。
しかし、実際に日々現場で利用者の方と関わるのは指導員を始めとする職員であり、サービス管理責任者が知り得た情報や行った措置について情報共有する必要があるのは当たり前です。
それができておらず、事情が分からないままでは職員が利用者の方と関わる上で支障をきたすのもまた自然の理。
確認に行った職員の判断は適切だと言えるでしょう。
サービス管理責任者が判断し決めたことに文句があるということではなく、それが情報共有されていないために事情が分からないから、個人的な気持ちではなく担当職員全員の総意として確認に行った。
仕事として当たり前のことで、サービス管理責任者が情報共有できていないことが問題です。
それを、「俺が決めたことに何の確認をするつもりか?」とは言語道断です!
「思い上がり」とは、自身の重要性を過大評価し、他人より優れている(立場・能力的に上である)と勘違いする一般的には「自己本位で生意気」とされる態度。
「思い上がりも甚だしい」とは、自分の能力や立場を過大評価し、その程度が常識をはるかに超えている状態ですね。
「立場に相応しい行い」とは、自分が置かれている状況や役割における適切な言動です。これが間違っていては、周囲とのコミュニケーションや信頼関係の構築がうまくいかないでしょう。
自分の役割を理解し、行動に責任を持つ。
他者の感情や状況を考慮し、敬意を払う。
その状況で最も適切な振る舞いをする。
個人の成長やキャリアの発展にも必要なことですね。
言葉遣いに気をつけ、態度を慎み(謙虚や誠実であること)、服装(環境や立場に相応しいメリハリを守る)も含めて行動(約束を守る、報告・連絡・相談を怠らない)で示す。
この件でのサービス管理責任者にはそれができていなかったのだと思います。
もう一つ言えば、「隣は女の人がいいな」という発言に対する「なんや、このオッサン」という受け止めも理解に欠ける気がします。
私も男性ですから、「隣は女の人がいいな」という発言に正直共感できるところはあります。健全な男性なら普通にある気持ちだとも思っています。
面談であからさまに口に出したのは、今回のように偏った目で見られかねないことを考えても拙かったのではないかと思いますが、受け止める側に別の理解力が必要なのもまた事実でしょう。
「隣は女の人がいいな」という発言は、本当に、サービス管理責任者が「なんや、このオッサン」と言わざるを得ない、男性としてのいやらしさや邪な気持ちからだったのでしょうか?もし、その方が、騒々しい環境が苦手で、「騒がしい男性より静かな女性の隣の方が仕事に集中できる」と考えていたとしたらどうでしょう?
「なんや、このオッサン」と思う前に、「何故、隣の席は女の人がいいと思うのか?」と疑問を持ち、その確認が必要だったのではないでしょうか?
第一、「なんや、このオッサン」という言葉は、たとえ本音がそうで、そう言われても仕方のない事情であったとしても、上の立場の人間が口にするべきではなかったような気がします。
この一件、サービス管理責任者が思い上がりを慎み、立場に相応しい行いを心掛けてさえいれば、起こり得なかったことだと思えてなりません。
そして、それは、職業指導員やカウンセラーを始めとするあらゆる役割においても言えることで、誰もが襟を正し、思い上がりを慎み、立場に相応しい行いを心掛けねばならないのだと改めて考えさせられます。
「人は、良い意味でもっと自惚れていい」
それは、あくまでも「良い意味で」であって、無制限に好き放題に自己を過剰に高評価(悪い意味での自惚れ)してはいけませんね。
お楽しみ様でした。

「思い上がり」とは、自分を過剰に高評価し、他者より優れていると勘違いする「自己本位で生意気な態度」。「立場に相応しい行い」とは、自分が置かれている状況や役割における適切な言動。それは、あらゆる役割において言えることで、誰もが襟を正し、思い上がりを慎み、立場に相応しい行いを心掛けねばならないのだと改めて考えさせられます。
投稿者プロフィール
- くれたけ心理相談室(大阪支部)心理カウンセラー
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カウンセリングを通じて、「困っていた問題」 が 「新たな気づきや成長へのきっかけ」となることを心から願っています。
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