誰もが先生~学びはどこにでも【みたらし団子事件】~
くれたけ心理相談室大阪支部 心理カウンセラーの宇野謙一です。
ご訪問いただき、ありがとうございます。
子供の頃、近所のスーパーの入口に、いつも「みたらし団子」の屋台が出ていました。
その場で焼き立てを食べられるのが美味しそうで、いつか食べてみたいと思っていました。
そんなある夏の日、母と妹と3人でその屋台の前を通った時、普段は絶対にそんなことを言わない母が、「食べる?」と聞いてきたのです。
「やった!(夢がかなった!)」と思いました。
しかし、次の瞬間、妹の「いらん」の一言で、その夢は潰えました。
あの時、「自分は食べたい」とか「前から食べてみたかった」とか、ハッキリ本音を主張していれば、母は多分買ってくれたでしょう。
私がそうしなかったのは、「妹がいらないと言っているのに、自分だけほしいとは言えない」と思ったからでした。
私の中に、「他者の気持ちを無視して自分の主張を通すのはわがままだ」というモノサシがあり、それがそうさせたのでしょう。
「食べたい。でも、自分だけほしいとは言えない」という葛藤もあった筈です。
その場は、内心、「せっかくのチャンスだったのに、余計なことを言いやがって!」と妹を恨みました。
五十年近く経った今でもこうして覚えているくらいですから、よくよく悔しかったのでしょう。
今となっては、「あの時、黙っていてよかった」と思います。
「自分を抑えて他者を尊重する」姿勢の大切さを、その時の自分から学んでいるからです。
そして、矛盾していますが、「『自分は食べたい』『前から食べてみたかった』とハッキリ言えたらよかった」とも思っています。
「自分の気持ちを伝える」ことは「他者を尊重しない」こととイコールではないと今なら分かっているからです。
むしろ、「自分の気持ちを伝える」ことと「他者を尊重する」ことのバランスを取り、「他者を尊重しつつ、自分の気持ちも伝える」ことができればよかったと思います。
たとえば、妹に「いらんの?それでもええけど、前から食べてみたかったしなぁ。折角やから一緒にどう?」と言ってみる。みたいに。
当時小学校三~四年生だった自分に求めるには高度なテクニックかもしれませんが。
妹の一言と自分の自己主張のなさから一瞬で夢が潰えた「みたらし団子事件」。
あの夏の日の出来事、あの日の自分が、今の私に、「自分の気持ちを伝える」ことと「他者を尊重する」ことのバランスを取る、という大切なことを教えてくれています。
子供の頃の自分が…、こんな日常の一コマが…。
人にとって、誰でも先生であり、学びはどこにでもある、ということなのですね。
私も、何を書いても、そこに読む人の学びに繋がるものがあれば、と思って日々綴ってまいります。
お楽しみ様でした。

妹の一言と自分の自己主張のなさから一瞬で夢が潰えた「みたらし団子事件」が、「他者を尊重しつつ、自分の気持ちも伝える」という大切なことを教えてくれています。
投稿者プロフィール

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