経験を重ねるほど気をつけたいこと~経験値に基づく決めつけ~
くれたけ心理相談室大阪支部 心理カウンセラーの宇野謙一です。
ご訪問いただき、ありがとうございます。
今の自分が、この先進化していく自分より確実に優れているところが一つだけあります。
それは、「経験値に基づく決めつけ」がない、ということです。
何事も、経験を積めば積むほど、あそこはこう、ここではこう、とケースごとの捉え方や対処の仕方が見えてきます。
そこで気をつけるべきだと思うのは、そこで見えているものを100%是だと決めつけないこと。
それを邪魔するのが、進化し続けているが故に増える一方の「経験値」です。
たとえば、
研修の場で、経験豊富な講師が、研修生の意見に対して、「そういう場合は、普通はこうでしょう」と否定的な発言をすることがあったとします(事実、私は研修生の立場としてこれを体験しています)。
講師の判断は経験値に基づく基づくものですので、十中八九その通りでしょう。
しかし、そこで、経験値によらない新鮮な視点を持ち、研修生の意見を残りの一二として可能性ありと認める必要があると思います。
たとえば、
体の不調に苦しんでいる人は、必ずカウンセリングではなく病院に行くものでしょうか?そう言い切れるでしょうか?
もしかしたら、心身共に苦しい中で、心の前に体のケアが必要であることに気づかないまま、カウンセリングに来ている可能性もあるでしょう。
だとしたら、質問の中で体調・通院の確認をすることで、医療機関受診の必要性について気づきを促すこともカウンセラーの役目だと思います。
「経験値に基づく決めつけ」で「体の不調に苦しんでいる人は、必ずカウンセリングではなく病院に行く」と質問の中で体調・通院の確認を怠った場合、カウンセリングの方向性を見誤る危険性もある筈です。
今の自分が、この先進化していく自分より、「経験値に基づく決めつけがない」、という点で優れている。というのは、その危険性から遠ざかっていることに他なりません。
私は、二度同様のケースを体験し、後日、それぞれの講師と主催者側に「経験値に基づく決めつけで100%そうとは言い切れない。他の可能性もあるのでは?」と具体例を挙げて意見しました。
二度目のケースでは講師が意見を受け入れて発言が不適切だったと認めましたが、最初のケースでは主催者側が「優秀な方なのでこちらからは意見できない」と講師を擁護していました。
進化を重ねるごとに、当然ながら経験値は増えていきます。
それは大いに良いことですが、そこで「経験値に基づく決めつけ」に判断を委ね、他者の意見に耳を貸さなかったり、否定的になるのは避けたいもの。
私とて、カウンセラーとして更に経験を積むほどに、今の気持ちを忘れ、そうなってしまわないとも限りません。
そうならないよう、痛みを知る一人の人間として、傲慢さのないカウンセラーでありたいと改めて思います。
お楽しみ様でした。

「経験値に基づく決めつけ」に判断を委ね、他者の意見に耳を貸さなかったり、否定的になるのは避けたいものですね。
投稿者プロフィール

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