傷心・笑心~怒りの炎を消火(昇華)する~

くれたけ心理相談室大阪支部 心理カウンセラーの宇野謙一です。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

 

怒りに火が点きそうな時、様々なことが歯止めになっていると思います。

仕事のこと、家族のこと、社会的立場のこと、etc…。

自分にとって、怒りをこらえてでも守りたいものは誰にでもある筈。

私が、心理カウンセラーの名札を提げて歩いているのにも、身分証明書というだけではなく、そういう意図が恐らくあります。

 

明石家さんまさんが、横断歩道で信号待ちの最中、中学生に臀部を蹴られ、「ナイスキ~ック!」と返したという有名なエピソードがあります。

実は、この時、「殴り返そうと思ったくらい」腹が立ったそうですが、その後の仕事のことなどが頭をよぎって、「ナイスキ~ック!」で済ませることができたと言います。

今となっては、怒りの炎を「消火した=笑いに変えた(昇華した)」出来事だったように思います。

 

私にも似たような経験があります。

あれは、中学3年生の秋、国語の時間。「奥の細道」の授業中でした。

松尾芭蕉のエピソードを話していた国語教師が、突如、松尾芭蕉が「○(とある疾患)」だったと言い出し、続けて、「●●○(疾患の種類)ではない。●●○は宇野じゃ」と何の根拠もなく言い放ったのです。

私は、すかさず、「失礼な!」と言い返しました。

一瞬の静寂の後、教室中に大爆笑の渦が巻き起こりました。

 

本来なら、日頃から心ないイジリを受けていた(実は、その教師の奥さんが小学校3・4年生の時の担任で、覚えがめでたくなかった)ため、流石にいき過ぎ、いい加減にしろ!と苦情の一つも言う、というより怒鳴りつけたかったレベルの話でした。

しかし、いかんせん、高校受験を間近に控えた身。いくら相手に非があっても教師相手のトラブルは避けねばなりません。

そう思うと、ハナから怒りのこぶしは振りあがりませんでした。

それ以上に、「ここは怒りをぶちまけるより、こっちから笑いに変える方が、生徒にこんなことを言う教師よりも上等な人間でいられる」という計算がとっさにできていました。

今なら、生徒に対する暴言として大問題になるところでしょうが、四十年以上前の昭和の時代は、教師も生徒もそれで済んでいたのです。

 

あの時、私は、「クラス全員の前で教師に何の根拠もなく●●○だと言われた」怒りと傷心を「失礼な!」と言い返すことで、意図的に笑心に変えました。

「怒りの炎を消火する=怒りを笑いに昇華させる」ことに成功したのです。

この心構えは、今後まだまだ社会人として生きていく上でも、カウンセラーとしてクライエント様と向き合う上でも大切なことだと思っています。

 

対人関係などで嫌なことがあっても、怒りの炎をくすぶらせ続けるより、可能な限り笑いに昇華させ、くすぶりかけた炎をその笑いの洪水で消火する方が、どれだけ対外的にも精神衛生の面から見てもよいことでしょう。

今後、クライエント様と向き合うにあたり、こうしたエピソードも適宜盛り込みながら(適度に自己開示しながら)、気づきや心の浄化につなげていけたら、と思います。

 

お楽しみ様でした。

怒りの炎をくすぶらせ続けるより、笑いに昇華させ、その笑いの洪水で消火する方がどんなに良いことでしょう。

投稿者プロフィール

宇野謙一カウンセラー
宇野 謙一くれたけ心理相談室(大阪支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室(大阪支部)は、大阪府大阪市・八尾市を拠点に心理カウンセリングを承っております。エリア外の皆様にも、Zoomや電話等によるカウンセリングにて対応させていただいております。

カウンセリングを通じて、「困っていた問題」 が 「新たな気づきや成長へのきっかけ」となることを心から願っています。

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