考えを口に出す〜決断できない気持ち〜

くれたけ心理相談室大阪支部 心理カウンセラーの宇野謙一です。

ご訪問いただき、ありがとうございます。

 

先日、こんな記事を見かけました。

穏やかで争いを好まない性格ですが、家のことや子供のことなど、全ての決断を奥さんに委ねてくるご主人。

「君が決めて」が口癖で、「どっちでもいいよ」「任せるよ」の連続に奥さんは次第に疲れていきます。

ご主人の態度に心が折れたある晩、どうしていつもそうなのか思い切って尋ねると、ご主人はこう答えました。

「その方がうまくいくと思った」「自分が決めて何かあったらと思うと怖い」

うまくいかなければ自分のせいにするつもりかと怒った奥さんは1人でカウンセリングを受けました。

「ご主人は決断に強い不安があるのかも」「本当は考えをうまく言えないことを悩んでいるのかも」

このカウンセラーの言葉を聞いた奥さんは、以後、「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」という問いかけ方をするようにし、ご主人も少しずつ自分の意見を言ってくれるようになり、「一緒に考えた上で相手に決断を任せる」ことが夫婦が対等なパートナーでいるためには必要だと感じたそうです。

 

ご主人の言葉からもカウンセラーの言う「決断に強い不安」があることがうかがえます。ただ、判断の是非に関わらず何かしら考えていることは誰にでもあるのではないかと考えられますので、「言いたいことを言えずに悩んでいる」ところもあるかもしれませんね。

 

複数の人が関わることの「決断」については、大まかに言えば、「相手任せにする人」、「何でも自分が決めたがる(自分の考えを通したがる)人」「みんなで一緒に話し合って決めたい人」に分けられると思いますが、ご主人のように「相手任せにする人」の心中は性格によって様々なのではないでしょうか。

 

「相手任せにする」気持ちとしては、ご主人のように「自分が決めて何かあったら怖い」という不安、面倒だったり責任を負いたくないという無責任、相手の考えを尊重したいという優しさ、というようなことが考えられるような気がします。また、自分の考えを押し付けたり否定されたりしたくないため「言いたいことを言えない」こともあり得なくはないですよね。

 

職場でのやり取りも同様で、私の経験上、「黙って言う通りにしろ」というタイプ(今後、徐々に減少していきそうですね)の上司もいれば、「任せるから思うようにやってみろ」という上司、「まず自分の考えを作ってから聞きに来い」という上司もいました。相手の成長を促したい上司ほど自分の考えを伝える前に相手に考えさせる姿勢を持っているなと感じたものでした(私自身は、上司としては、これらのどのタイプでもなく、敢えて「どうするか一緒に考える」対等な姿勢でいました)。

 

いずれにせよ、相手を立てたり尊重する気持ちが自分の中で優先されていれば、「自分の考えを言う」「自分が決断する」ことは難しいように思います。ただ、夫婦や友人として対等な関係性でいたり、上司・同僚・部下として業務の成果という目的に向かっていくためには、先の奥さんのように、「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」という、最終決定は誰がするとしても、考えを口に出して「一緒に考える」プロセスが大事だと、今回の記事から改めて感じました。

 

こうして、実体験を含めてあらゆるところから学ばせてもらってます。

 

お楽しみ様でした。

決断については、大まかに分けて、「相手に任せたい」「自分が決めたい(自分の考えを通したい)」「一緒に考えたい」というタイプの人がいると思います。「相手に任せたい」気持ちとしては、自分が決めて何かあったら怖いという不安、無責任、相手の考えを尊重したいという優しさ、考えを押し付けたり否定されたりするリスクの回避、というようなことが考えられるのではないでしょうか。対等な関係性や業務の成果を求めるなら、最終決定は誰がするとしても、考えを口に出して「一緒に考える」プロセスが大事だと改めて感じています。

投稿者プロフィール

宇野謙一カウンセラー
宇野 謙一くれたけ心理相談室(大阪支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室(大阪支部)は、大阪府大阪市・八尾市を拠点に心理カウンセリングを承っております。エリア外の皆様にも、Zoomや電話等によるカウンセリングにて対応させていただいております。

カウンセリングを通じて、「困っていた問題」 が 「新たな気づきや成長へのきっかけ」となることを心から願っています。

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