もしも経験値を盾に他者を否定したら~答えはいつも違う~

くれたけ心理相談室大阪支部 心理カウンセラーの宇野謙一です。
ご訪問いただき、ありがとうございます。

カウンセラーとて人間。
「私は長年この仕事をしているから分かる」「あなたはまだ経験が浅いから理解できない」――。
無意識のうちに、こうした“経験値”を盾にして、他者の意見を頭ごなしに否定して傷つける可能性はゼロではありません。

かつて、私の周囲にも、確かに、経験を積んだ立派な講師には違いないでしょうが、マウントを含んだ過剰な自己開示に加え、経験値に基く決めつけで他者の意見を否定する傾向があった方が実際にある教育機関の講師の中におられました。
そして、その方の言動について苦言を呈したある受講生への運営側の対応は、問題の本質を検証する前に、「あの先生は優秀だから」「実績のある方だから」「業界でも評価されているから」と講師を擁護し、実質的に訴えを退けてしまう。という不適切極まりないものでした。

もちろん、経験そのものは大切です。
多くの相談を受け、多くの失敗や成功を積み重ねてきた人だからこそ見える景色もあります。
私自身、「理論より痛みを知るピュアな心がモットー」と、多くの痛みを経験してきたことを強みにしているくらいです。
経験から得られる洞察や安心感は、カウンセリングにおいて大きな力になります。
しかし、その経験が「自分は常に正しい」という思い込みに変わった瞬間、支援者は人を癒やす存在ではなく、人を押さえつける存在になってしまうでしょう。

本来、カウンセリングとは「相手を理解しようとする姿勢」が土台にあるものです。
相手の背景、価値観、感覚、苦しみを丁寧に受け止めることが何より重要です。

そこで気をつけねばならないのは、経験値を過信して、「自分はもう答えを知っている」という感覚に陥らないこと。
それは、相談者の話すことを、「それは甘えです」「考えすぎですね」「みんなそうですよ」「あなたの場合はこうです」などと決めつけることにつながります。
相談者は「理解してもらえた」と感じるどころか、「否定された」「見下された」と感じてしまうのです。

特に危険なのは、“善意の顔”をしている場合です。
本人は「相手のためを思って厳しいことを言っている」と信じているため、自分が相手を傷つけていることに気づきにくいのです。
しかし、人は理論だけでは救われません。
「この人は自分の話をちゃんと聞こうとしてくれている」 そう感じられて初めて、心は少しずつ開いていきます。

経験値が高いことと、人の痛みに寄り添えることは、必ずしも同じではありません。
むしろ、本当に成熟したカウンセラーほど、自分の経験だけで人を判断しません。
自分の“正しさ”を押しつけるのではなく、「この人には自分の知らない苦しみがあるかもしれない」という姿勢を持っています。

人の悩みは、一人ひとり違います。
同じ言葉を言われても平気な人もいれば、深く傷つく人もいます。
過去の経験、育った環境、心の状態によって、受け取り方はまったく変わるからです。
だからこそ、「自分は経験してきたから分かる」という言葉には、注意が必要です。

経験は、人を支えるために使うなら価値があります。
しかし、相手を黙らせるために使われた瞬間、それは“知識”ではなく“圧力”になります。
本当に信頼される支援者とは、経験年数を振りかざす人ではありません。
どれだけ経験を積んでもなお、「自分はまだ相手を分かりきれていないかもしれない」と謙虚でいられる人なのだと思います。

人は一人一人違います。
同じ問題に対してでる答えももちろんそうです。

どんな立場であれ、支援者たる者、「答えはいつも違う」ことを念頭に置き、間違っても「経験値を楯に他者を否定したり傷つけたりする」ようなことはあってはならない。

それが、「理論より、痛みを知るピュアな心」をモットーとする心理カウンセラー宇野謙一の矜持です。

お楽しみ様でした。

経験値が高いことと、人の痛みに寄り添えることは、必ずしも同じではありません。むしろ、本当に成熟したカウンセラーほど、自分の経験だけで人を判断しません。自分の“正しさ”を押しつけるのではなく、「この人には自分の知らない苦しみがあるかもしれない」という姿勢を持っています。

投稿者プロフィール

宇野謙一カウンセラー
宇野 謙一くれたけ心理相談室(大阪支部)心理カウンセラー
くれたけ心理相談室(大阪支部)は、大阪府大阪市・八尾市を拠点に心理カウンセリングを承っております。エリア外の皆様にも、Zoomや電話等によるカウンセリングにて対応させていただいております。

カウンセリングを通じて、「困っていた問題」 が 「新たな気づきや成長へのきっかけ」となることを心から願っています。

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